自閉を活かす(再読)

ある日記で書こうと思ってうろ覚えの知識だったので本書を再読。せっかくなので再読レビュー記事を載せておく。

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https://www.amazon.co.jp/「自閉」を活かす-石井-聖/dp/4761487062


『自閉を活かす』を再読した…賦活系と抑制系だった、惜しい🤣本書では抑制系の支援員さんと賦活系の支援員さんについて書かれていた。
(指導員だっけ?まぁいいや)
 
 自分が創設したコロロ発達センターで長年自閉症の人たちを見ていて著者の石井さんは、問題行動のある自閉症の人がいたときに、近くにいるだけで大人しくさせてしまう支援員さん(抑制系)と、近くにいるとなぜか問題行動が活性化(賦活化)してしまう支援員さんがいることに気づいたのだとか。
 
 でも現場主義者石井さんの素晴らしいところは、この抑制系の支援員さんが優秀で、賦活系の支援員さんはダメな支援員さん、と片付けて終わりにしなかったところ!

(もちろん「抑制系の弱い人(=賦活系)」をさんざんダメだとこき下ろす描写もある。ただ、そこで終わりにしないのがいい。あと、抑制系は大人になっても鍛えることができる。身も蓋もなく言えば目力(めぢから)のことかな。あと気迫。自閉症で視覚優位の子には特に、口うるさくギャンギャン言うより、強い目線でヒタと見据えてひとこと短くビシッと伝えた方が伝わるよ、というおはなし)
 
 コロロに入ったばかりで問題行動が多い子は、抑制系の支援員さんと「相性がいい」。でもずっとその人が担当して謎の抑止力(抑制系パワー=目力)で問題行動を抑えても、自分でコントロールする力がつかないから、コロロでは徐々に賦活系の支援員さんに担当させるようにしたのだとか。
 
 石井さん理論では施設の中でいくらお利口に過ごせても、それがゴールじゃない。「社会でも」「緊張が高まっても(賦活化しても)」問題行動が起きないようにすることが大事。世の中には抑制系の人は少なくて、ほとんどの場合は賦活系なのだとか。だからこそ、賦活系の人といて問題行動を起こさないように導いていく必要があるという。
 
 実際それを証明すべく、最も問題行動の制御が難しい子を、1番の抑制系の遣い手の支援員さんから石井さん(本人曰く当時のコロロスタッフの中ではかなり抑制力に自信があったらしい)が一時担当を代わって、やっぱり抑制できなくてゲロ(しぶき)を顔に吐きかけられる話とかすごいすき、面白すぎるこの人🤣
 
 (この辺の直感力による決めつけと謎理論すき… まぁ実際会ったらこだわりが強くて付き合いにくいお爺さんじゃないかなとは思うけど(特筆すべき良さのある施設のワンマン経営者にありがち)理論や勘所、実験魂はすばらしい。(謎の上から))
 
 そうそう、そうなのよ。みんなそれぞれその人らしさを生かして活躍すればいいのよ。抑制系の人はもちろん組織で重宝されると思う。でもその人だけじゃダメなんだよね。みんなちがって、みんな必要。それが集団を作るよさじゃないの。
 
 ただ誰もが認める目立つ優秀な人がいて、全員がその人を目指す必要はない。むしろその人にない良さを伸ばして、組織として強くなればいい。そういう目線を持ったリーダーがいる組織の人間は幸せだ。こき使われるけど🤣

まぁ今読み返すと色々問題のある描写も多い内容だけど、すごく本質的な部分で、自閉症というものへの理解、問題行動への対処の仕方について、やはり頭ひとつ抜き出た勉強になる一冊だと思う。

ものすごく独特の理論と決めつけ、おもしろ脳科学エビデンスなし)の嵐だから、読む人はその辺の感覚をちょっと緩めて、ゆるく受け取りつつ、かつ鵜呑みにせず読むといいと思う。

何度読んでも、超実践的で、独自視点の、おもしろい本です。